SECTION 01
このマニュアルの大原則
被災地の作業は、通常の遺品整理とは違い危険が伴います。倒壊しかけた建物、割れたガラス、粉じん、余震——。まず自分たちの安全を守ることが、お客様を助ける第一歩です。
友心が守る4つの原則
① 屋内作業のみ
ごみの運搬・処分、建物の解体はしません(許可がないため)。私たちは屋内の捜索・仕分けまで。
② 最低2名体制
危険を伴うため、1名だけの作業は禁止。必ず2名以上で、声をかけ合って進めます。
③ 安全最優先
「危険(赤紙)」の建物には入りません。危ないと感じたら、作業より安全を優先します。
④ 迷ったら本社へ
判断に迷ったら、その場で決めず必ず本社・責任者に連絡(SECTION 13)。
私たちの立ち位置
被災された方は、大きな不安の中におられます。「想いを大切に」——お客様の気持ちに寄り添い、誠実に。急かさず、丁寧に務めましょう。
SECTION 02
現場に入る前の確認
現場に着いたら、まずこれを確認
① 応急危険度判定の紙
玄関等に貼られた判定票の色を確認。赤(危険)は絶対に立ち入らない。黄(要注意)も慎重に。
② 建物の傾き・ひび
柱の傾き、壁・基礎の割れ、天井の落下。危ないと感じたら入らず本社へ。
③ 電気・ガス・水道
通電火災・ガス漏れに注意。においや異常があれば作業を止める。
④ 余震・足元
余震で崩れる恐れ。逃げ道を確保。床の踏み抜き・釘・ガラスに注意。
お客様に「先に」お伝えすること(公費解体)
「全壊」などと認定されたお宅は、公費解体制度で市町村が家屋も壊れた家財もまとめて撤去してくれる場合があります(対象の範囲は市町村の発表によります)。この場合、お客様が私たちに費用を払って家財撤去を頼む必要は原則ありません。受注より先に、まず罹災証明書の取得と市町村への相談をおすすめしてください。これは友心の約束です。
SECTION 03
安全ルール(最重要)
絶対に守ること
①「危険(赤紙)」の建物内では作業しない ②必ず2名以上で行動する ③危ないと感じたら、迷わず中止して本社へ連絡する。売上より、あなたの命が大切です。
装備(保護具)
- ヘルメット/防じんマスク/保護メガネ(ゴーグル)/厚手の手袋/安全靴(踏み抜き防止)を必ず着用。
- 倒壊家屋は粉じんが多い。防じんマスクは必須。夏場は熱中症対策に水分・塩分・休憩を。
石綿(アスベスト)に注意
古い建物ほど注意
2006年(平成18年)より前に建てられた建物は、壁材・天井材などに石綿が含まれている可能性があります。倒壊で飛散する恐れがあるため、むやみに壊さない・削らない。疑わしい建材があれば作業を止め、本社に連絡してください。
その他の危険
- 割れたガラス・露出した釘・不安定に積み重なった家財。無理に引き抜かない。
- 重い物・大型家具は2名以上で。無理な体勢で腰を痛めない。
- カビ・汚水・害虫。衛生対策(手袋・マスク)を徹底する。
- 余震を感じたら、すぐ屋外の安全な場所へ避難する。
SECTION 04
やる作業・やらない作業
友心が引き受ける範囲ははっきり決まっています。範囲を超える依頼を受けたら、その場で約束せず本社へ。
| ⭕ 私たちがやる作業 | ❌ 私たちがやらない作業 |
| 屋内から想い出の品・貴重品を捜索して運び出す |
ごみ(廃棄物)の運搬・処分 ※一般廃棄物の許可がない |
| 屋内の家財を「残す/処分」に仕分け、敷地内の一箇所にまとめる |
建物の解体・基礎の撤去 ※解体工事業の登録がない |
| 運び出した品の泥落とし・簡易クリーニング |
「危険(赤紙)」の建物内での作業 |
| 作業前後の写真・数量明細の作成 |
公費解体の対象と分かっているお宅の残置物撤去 |
| 運搬・処分・解体が必要なときは、熊本県内の許可業者を紹介・調整 |
上記を「できます」と安請け合いすること |
敷地の外へは運ばない
仕分けした廃棄物を敷地の外(仮置場など)へ運ぶのは友心はできません。お客様ご自身か、市町村の許可を受けた業者が行います。手配のお手伝いはできます(SECTION 08)。
SECTION 05
作業の進め方(5ステップ)
① 捜索・搬出位牌・仏具・アルバム・写真・通帳・印鑑・貴金属・想い出の品を捜して運び出す。お客様の立ち会いが原則です。
② 仕分け・分別屋内の家財を「残すもの/処分するもの」に分け、敷地内の一箇所にまとめる(分別まで担当)。
③ 洗浄運び出した品の泥落とし・簡易クリーニングを行う。
④ 記録の作成作業前後の写真と数量明細を作成(SECTION 11)。お客様の申請資料として使えます。
⑤ ご紹介運搬・処分・解体が必要なら、熊本県内の許可業者を紹介し工程を調整(紹介手数料はいただきません)。
SECTION 06
貴重品・想い出の品の扱い
被災された方にとって、写真一枚・位牌一つが何より大切です。友心の一番の役割は、その想いを守ること。
- 現金・通帳・印鑑・貴金属・権利証などを見つけたら、必ずその場でお客様に報告し、お渡しする。自分の判断で処分・保管しない。
- 位牌・仏具・アルバム・手紙・形見は、捜す前にお客様に「何を探したいか」を具体的に伺う。
- 貴重品は必ず2名で確認し、記録(写真・メモ)を残す。
- お仏壇・お人形などは、供養・お焚き上げのご相談を承れると伝える(本社で手配)。
トラブルを防ぐ
「大切な品を勝手に捨てられた」は最も多いクレームです。残す/処分の判断は、必ずお客様に確認してから。迷ったら残す・確認する。
SECTION 07
リユース品の引き取り(重要・法令)
まだ使える品を引き取ってリユースすれば、お客様の処分費を減らせます。ただしやり方を間違えると法律違反になります。次のルールを必ず守ってください。
やってはいけない
お客様が「処分したい」品をタダ(無料)で引き取って持ち帰ること。無料で持ち帰ると「ごみ(廃棄物)を無許可で運んだ」とみなされる恐れがあり、友心は熊本でその許可を持っていません。後でリユースしても、この問題は消えません。
正しいやり方(これならOK)
まだ使える品は、古物商許可にもとづく「買取(有価物としての引き取り)」として扱います。少額でも値段を付ける(または作業料金から差し引く)ことで、「ごみ」ではなく「価値ある品の取引」になり、適法に引き取ってリユースできます。
買取として引き取るときの手順
- 少額でも対価を付ける(現金 or 作業料金からの相殺)。ゼロ円では引き取らない。
- 古物台帳に記録し、必要な本人確認を行う(古物営業法の義務)。
- チラシや口頭で「買取します」と宣伝しない。被災地は撤去品ばかりで「全部買って」となりかねないため。
- お客様から「これは買い取れますか?」と聞かれたときだけ、その場で査定・対応する。
- 判断に迷う品は、無理に引き取らず本社へ確認。
お客様メリットの伝え方
「使えるお品を買い取らせていただくと、その分は処分するごみが減り、処分費のご負担が軽くなります」——これが、適法にお客様の負担を減らす正しい説明です。
SECTION 08
廃棄物(ごみ)の扱い
被災家屋から出るごみは「一般廃棄物(災害ごみ)」です。これを運ぶには市町村の許可が必要で、友心は熊本県内で許可を持っていません。
- 友心がやるのは敷地内の一箇所にまとめる(一時集積)ところまで。
- そこから仮置場への搬出・処分は、お客様ご自身か、市町村の許可を受けた業者が行う。
- 友心のトラックで敷地の外へごみを運ばない(違法になります)。
- 許可業者・自治体への手配のお手伝いはできる。必要なら本社へつなぐ。
絶対NG
お客様に頼まれても、ごみを友心の車で運び出さない。良かれと思っても法律違反です。迷ったら本社へ。
SECTION 09
料金の伝え方
金額の最終決定・お見積りは本社・責任者が行います。現場でその場の口約束はしないでください。料金の考え方だけ、正しく伝えられるようにしておきましょう。
基本料金(最低2名体制・税別)
| プラン | 実働 | 料金 |
| 基本プラン(作業員2名+車輌1台) | 半日(3時間) | 138,000円 |
| 基本プラン(作業員2名+車輌1台) | 1日(6時間) | 194,000円 |
| 作業員を1名追加するごとに | 半日 | +39,000円 |
| 作業員を1名追加するごとに | 1日 | +67,000円 |
- 被災地作業は危険を伴うため最低2名体制が基本、と説明する。
- 基本プランには出動基本料金 60,000円(車輌1台・往復移動・保護具・保険)と作業員2名分を含む。1名単位で追加できる(例:3名1日=194,000円+67,000円=261,000円)。
- 追加費用が出る条件(物量の増加・建物の危険度など)は、その場で正直に伝える。
お客様との約束(守る)
①お見積りは無料・書面でお渡し ②即決を迫らない(「ご検討ください」) ③訪問して契約した場合は書面のお渡しから8日間クーリング・オフできる(特定商取引法) ④公費解体の対象になり得るときは受注より先に伝える。
SECTION 10
お客様対応・近隣配慮・守秘
- 被災された方は不安と疲れの中におられます。急かさない・否定しない・丁寧に。
- 物量や散乱に顔をしかめない。「私どもにお任せください」と落ち着いて。
- お客様のお名前・ご事情を、近隣に聞こえる場所で話さない(守秘)。
- 現場写真・お客様情報をSNS等に無断で出さない。会社の許可とお客様の同意が必要。
悪質商法にご注意(お客様を守る)
災害の後は、被災者を狙う悪質業者が増えます。友心はその場で契約を迫らない・不安をあおらない。お客様がトラブルで困っていたら、消費者ホットライン188(いやや)番があることをお伝えできます。
SECTION 11
記録写真・数量明細の作り方
作業前後の写真と数量明細は、お客様の自費解体の費用償還や保険金請求の資料になります。丁寧に残しましょう。
- 作業前:部屋の全体・被害の状況が分かるように撮る。
- 作業後:片づいた状態を同じ向きで撮る(前後が比べられるように)。
- 運び出した物・処分する物の品名と数量をメモして明細にする。
- 壊れた家財・家電は、品名が分かるように撮っておく。
- 撮影前に「記録のため撮らせていただきます」と一言添える。
SECTION 12
地震保険への対応(トークスクリプト)
地震保険にご加入のお宅では、被害の記録が保険金請求に役立ちます。ただし私たちは保険の専門家でも代理店でもありません。次のルールを必ず守ってください。
絶対にやってはいけないこと(保険業法・トラブル防止)
① 保険金が「いくら出る」「必ず出る」と断言しない ② 保険の請求を代行しない ③ 被害を実際より大きく見せない(水増しは保険金詐欺) ④「保険を使えば無料」と契約を急がせない。これらは悪質業者の手口です。友心は絶対にしません。
私たちができる正しい支援
- 片付け・処分の前に、「ご加入の保険会社へご連絡」と「被害の写真」をおすすめする。
- 作業前後の写真と家財の数量明細を作成してお渡しする(お客様がご自身で請求される際の被害資料)。
- 認定・お支払いの判断は保険会社が行うことを必ずお伝えする。
- 高額な品(貴金属・美術品等)は別に記録する(※1個30万円超は地震保険の対象外の場合あり)。
スタッフが知っておく基礎知識(お客様に押し付けない)
付帯のしくみ
地震保険は火災保険に付いていることが多い。単独では入れない。
対象
居住用の建物と、その中の家財一式。※自動車、1個30万円超の貴金属・美術品は対象外。
損害の区分と支払い
全損=100%/大半損=60%/小半損=30%/一部損=5%(保険金額に対する割合)。「一部損」に至らないと支払われない。
いちばん大切なこと
区分の認定は保険会社が行う。金額は私たちには分からない。詳しくはお客様の保険会社・代理店へ。
※ 上記は一般的な説明です。契約内容により異なるため、必ずご加入の保険会社にご確認いただくようお伝えください。
トークスクリプト(そのまま使えます)
① 加入の確認
スタッフ「差し支えなければ、地震保険(火災保険に付いていることが多いです)にご加入かどうか、ご存じですか? もしご加入でしたら、被害の記録がお手続きに役立つことがあります。」
② 片付け前の助言(最重要)
スタッフ「片付ける前に、2つだけおすすめがあります。①ご加入の保険会社にご一報ください。②壊れた家財やお部屋の被害を、写真に残してください。片付けてしまうと被害が確認できず、認定で不利になることがあります。」
③ 友心の記録のご案内
スタッフ「私どもは、作業の前後の写真と、お運びした家財の数量の明細をお作りしてお渡しします。保険金をご請求されるときの、被害の資料としてお使いいただけます。(認定やお支払いは保険会社がご判断されます。)」
④「保険を使えば無料になる?」と聞かれたら
お客様「保険を使えば、タダで全部やってもらえるの?」
スタッフ「保険金がいくら出るか、出るかどうかは、保険会社さんのご判断になります。私どもからお約束はいたしかねます。まずはご加入の保険会社・代理店にご確認ください。私どもは、そのための被害の記録をきちんとお作りしてお渡しします。」
迷ったら本社へ
保険のことで判断に迷ったら、その場で答えず本社へ。「認定・金額は保険会社が決める/私たちは記録を残すお手伝いをする」——この線を越えないことが、お客様と会社を守ります。
SECTION 13
困ったら本社へ(連絡先)
現場で少しでも迷ったら、その場で決めず本社へ。抱え込まないことが、事故とトラブルを防ぎます。
本社・連絡先
株式会社友心 友心まごころサービス(代表取締役 岩橋ひろし)
電話 0120-960-877 (受付 8:00〜19:00)
こんなときは必ず連絡
- 建物が「危険(赤紙)」/傾き・崩れが心配なとき
- 石綿(アスベスト)が疑われる建材があるとき
- 現金・通帳・貴金属など高額な貴重品を見つけたとき
- 見積り以外の追加費用が発生しそうなとき
- 「これは買い取れる?」と聞かれ、判断に迷うとき
- ごみの運搬・処分・解体を強く頼まれたとき
- お客様からのクレーム・体調不良・ケガ・事故が起きたとき
迷ったら「やらない・止める・聞く」
分からないことを推測で進めない。止めて、本社に聞く。これが友心のいちばんのルールです。
SECTION 14
当日チェックリスト
着手前
- 2名以上そろっているか(単独作業になっていないか)
- 応急危険度判定を確認したか(赤紙の建物に入っていないか)
- ヘルメット・防じんマスク・手袋・安全靴・ゴーグルを着けたか
- 電気・ガスの異常、建物の傾き・崩れを確認したか
- お客様に罹災証明・公費解体の話を先にお伝えしたか
- 地震保険にご加入か確認し、片付け前に「保険会社へ連絡+被害写真」をお勧めしたか
作業中
- 残す/処分の判断を、お客様に確認しながら進めているか
- 貴重品を見つけたら、2名で確認し、お客様に報告したか
- リユース品は「無料引き取り」でなく「買取(台帳記録)」で扱っているか
- ごみを敷地の外へ運んでいないか(一時集積まで)
- 作業前後の写真・数量明細を残しているか
- 石綿の疑い・危険を感じたら止めて連絡したか
撤収時
- お客様に作業内容・記録を確認いただいたか
- 追加費用・次の工程(許可業者の紹介等)を正しく伝えたか
- 現場・近隣に配慮して撤収したか(守秘・写真の扱い)
- 気になったこと・判断に迷ったことを本社へ報告したか
最後に
マニュアルは「型」にすぎません。いちばん大切なのは、安全を守り、被災された方の想いに寄り添うこと。無理をせず、迷ったら本社へ。一件一件を誠実に務めましょう。